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ARIA 二次創作 ネオ・ヴェネツィアの水彩画 最終話

「ARIA」の二次創作小説「ネオ・ヴェネツィアの水彩画」、最終話です。
アクア編後半です。
長いのかなと思ってたけれど、改行が多いからそう感じたんだとおもいます。前とのギャップで長いと感じられたらごめんなさい。
感想いただけたらうれしいです。

前作
「ネオ・ヴェネツィアの水彩画 一・水の妖精」
「ネオ・ヴェネツィアの水彩画 二・羽 空の上 地球の兄弟」
「ネオ・ヴェネツィアの水彩画 三・その迷い路の果てに・・・」

・あらすじ
この出会いがあったから今があるんだと思う。
すべては、あの水彩画とであったときからはじまっていた。
ネオ・ヴェネツィア、白き妖精の水先案内。
それは水彩画がつなぐ、かけがえのない出会い。そして・・・


本編は続きを読むから。

~ネオ・ヴェネツィアの水彩画 最終話・ネオ・ヴェネツィアの水彩画~

 そのウンディーネの名前はアリシアさんという。
 わたしがアイと名乗ると、口癖のように「あらあら」と微笑んだ。妖精が微笑むと、こんな風に笑うんだろうなあ、と思った。

「じゃあ、あなたは日本から来たのね」
「うん。あ・・・いえ、はい。」
「じゃあ乗って」
「え?」

 いきなりでたアリシアさんの言葉に、わたしは戸惑う。お金なんて当然持ってない。お母さんのもとだ。
 そのことを告げると、アリシアさんは、

「あらあら。子供は無料よ。たしか、日本のバスの代金もそうだったと思うけど」
「半額ですよ」
「あら? 確か前にグランマに訊いたのだけれど、ボケてたのかしら」

 知らない名前が出てきて、誰? と訊こうと思った。けど、そのときには、わたっしはアリシアさんに手を取られて、舟の上に導かれていた。

「じゃあ、お友達」
「おともだち?」
「そう。アイちゃんは私のお友達。だから特別料金」

 わたしはぺこぺこと頭を下げた。仕事の邪魔をして申し訳ないと思った。だけど、アリシアさんは気にするでもなく、わたしを迎え入れてくれた。

「そこに座って」
「あ、はい」
「ぷいにゅ」

 ぷいにゅ?
 腰を下ろすと下はクッションみたいに柔らかかった。少し沈んだかと思うと、そのクッションが鳴いたのだ。

「あらあら。アリア社長。こんなところにいたんですか」
「アリア社長?」

 おしりをどけて、下から出てきたのは、円盤のような青い目をした、おっきな猫だった。地球(マンホーム)では見かけない種だ。

「ごめんなさい。紹介が遅れたわね。この子はアリア。火星猫で、社長なの」
「にゅ」

 ご丁寧に頭を下げるので、「これはご丁寧に」と、わたしも同じように返す。
 あれっ? アリア? どこかで聞いたような。

「あ!」
「どうしたの?」
「アリアってことは、もしかて、アリアカンパニーの方ですか」
「あらあら、じゃああなたが」
「はい。今日ウンディーネの舟に乗せてもらうって、お母さんが予約していて」

 事情をのみこんだアリシアさんは、アリアカンパニーに案内すると言って、舟を走らせた。ちょうど戻る途中だったらしい。
 アリシアさんのオールさばきは、まるでオールが身体の一部であるかのように、美しく、わたしは心奪われていった。まるで、あの水彩画に描かれていた舟に、そのままわたしが乗っているように錯覚した。
 でも、街並みが、後ろへと遠ざかっていくのを見送るたびに、ある思いがふくらんでいった。

 このまま帰りたくない!

「あの」
「どうしたのかしら」
「その・・・街を、案内してくれませんか」

 本当はお母さんと一緒に回るはずだった。でも、帰ったらお母さんに怒られて、キャンセルにされちゃうかもしれない。
 ちがう。それは口実だ。
 わたしはアリシアさんと一緒にいたかったんだ。
 あの水彩画のウンディーネのように、舟の中で、風となり、波となり、
 ネオ・ヴェネツィアの一部になりたかった。

「アリア社長」
「にゅ」

 アリシアさんが、アリア社長になにか言い渡した。すると、アリア社長は、舟から岸に飛び移り、走り出すと、家々の影へと消えてしまった。

「アリア社長は、ああ見えても頭がいいのよ。ちゃんとARIAカンパニーに戻って、お母さんを説得してくれるわ。多分、藍華ちゃんも来ているはずだから」
「アリシアさん?」
「うふふ。私たちは友達でしょう。友達の頼みは断れないわ」

 わたしは泣いた。うれしかったから。アリシアさんに抱きつくと、「ありがとう」とつぶやいた。アリシアさんの懐は、羽毛に包まれているように温かかった。
 水の妖精は「あらあら」とわたしの頭をなでてくれた。

「うれしい」

 うれしくて死んでしまいそうなくらい。

 それからアリシアさんの水先案内が始まった。
 ネオ・ヴェネツィアの歴史や、観光名所の紹介。多くは理解できなかった。けど、歌うようなアリシアさんの声は、レコード盤に録音するかのように、わたしの心の中にしみこんでいった。

 このアクアの紀行を司るサラマンダー。重力を制御するノーム。なにもかもが新鮮で、わたしの心を躍らせた。
 特にため息橋の話は、深く印象に残った。
 囚人達が最後に街を見る場所。
 うん。そうだよね。ため息もつきたくなるよ。
 だって、こんなにも美しくて綺麗な街なんだもの。

 特に案内することもない場所では、地球(マンホーム)の話をした。
 わたしが、アクアに来る一因となった水彩画のことを話すと、アリシアさんは、なにか思いついたようにうなずいた。

「この先に絵画店があるの。見に行かない?」

 わたしはうなずいた。
 もしかしたら、同じ絵があるかもしれない。
 そして、その絵は見つかった。
 先のアリシアさんのオールさばきを思い出すと、ますますこの絵のウンディーネに似ていると感じられた。

「あらあら」

 アリシアさんは、本当に愉快そうに笑った。

「この絵のこと、知りたい?」
「うん」
「うふふ。グランマよ」
「グランマって。前にアリシアさんが言ってた・・・」
「そう。アリアカンパニーを立ち上げた、とっても立派な、私の憧れの人」

 わたしが会いたいな、ともらすと、アリシアさんは天使のような笑みを浮かべた。

「会えるわよ。今はちょっと遠くにお出かけ中。でも、アイちゃんはウンディーネになるんでしょう」
「え、なんで?」
「私にはわかるわ。だって、アイちゃんが大きくなって、オールを持つ姿を想像したら、とてもさまになるんだもの」

 結局、夕方になるまでアリシアさんの観光案内は続いた。
 それでも、別れの時は、もっと一緒にいたいという思いが、胸の中にあふれた。泉のなかをあふれた思いは、やがて涙となって瞳からこぼれた。

「また会える?」
「ええ。もちろんよ」

 アリシアさんと別れたあと、再会した母にはこっぴどくしかられた。
 残りの滞在期間は、諸島めぐりをして、名残惜しくもアクアの地を後にした。


 それからかなりの月日がたって、わたしはウンディーネとなった。
 アリシアさんはもう引退していた。
 代わりに迎えてくれたのは、ARIAカンパニーの先輩の灯里さん。
 少し、アリシアさんに面影が似ているような気がした。
 舟を操る姿は、あの水彩画のように鮮やかだった。

 わたしは立派なウンディーネになれるのかな?
 心のレコード盤が、アリシアさんの声を再生した。その声はきっとこういうんだ、
「なれるわよ」
と。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
傾向:眼鏡キャラ、マイナーキャラ

好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

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