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時の欠片 壱 赤い糸

 誰かの声を探している。いつか聞いた大切な人の声。遠い昔に出会った……
 いつでもあたしを励ましてくれた。彼女の太陽のような笑みは、眩しいくらいにあたしを照らしてくれた。
 ねえ、あなたは今どこにいるの? あなたがいなければ、あたしは影の中で一人ぼっち。
 いつかのように手を?いで。あなたの温もりをあたしに分けて。
 時があたし達を分かったときも、いつか会おうと決めたよね。あの約束は今でも忘れない。いつか、また会えると信じてる。

 時がずれた。私と彼女は生きる時間が違う。数十年とか、そんなじゃない。何百年という、人の寿命から考えたら絶望的な時間。
 当たり前のように側にいた人が消えた。不思議とどこにいるかは分かった。そこは遠い遠い未来。
 私は彼女の時に追いつけるだろうか。
 彼女が呼んでいる。彼女が泣いている。
 その事実だけで、私の胸は締め付けられるように苦しい。

 何があたし達の時を分かったのだろう。見たことのない地で、一人さまよっていたところを拾ってくれた人がいた。その人に訊ねたことがある。
 その人は困ったように首を傾げるだけだった。
 そうだよね。分かるはずがない。
 あたし達が離れ離れになる謂れなんてない。
 運命のいたずら?
 いたずらなんかで、簡単に人の心をもてあそばないで。
 もし神様がいるならば、あたしは恨み辛みをぶちまけているだろう。泣いて、罵声を上げ、それでもあたしの心を収めることはできない。
 この心を癒すことのできるのは、ただの一人だけ。

 きっと彼女は泣いているだろう。自らの運命を呪っているだろう。
 いつも、私はそんな彼女を支えてきた。泣けば慰め、怒ればなだめた。二人で喧嘩しても、仲直りしないことなどなかった。二人はいつでも一緒。だから私という支えを失えば、彼女の心という小さな城はもろくも崩れ去ってしまうだろう。
 ああ、これは私の独占欲でもあるのかもしれない。あるいは自尊心か。私しか彼女は求めないという、自分勝手な。
 だから時は離れたのだろうか。彼女が一人で歩けるようにと。いわばこれは試練なのかもしれない。
 だとしても、私は諦めない。どんなことをしても、幸せな日々を奪った何かを探し、彼女を取り戻す。

 早く来て。

 今行くよ。

 心だけは今も、二人を繋ぐ架け橋のように通じ合っている。細い細い糸。とてつもなく長くて、向こうなど見えない。
 それは絶対に切れることのない強い糸。
 絆という赤い糸。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
傾向:眼鏡キャラ、マイナーキャラ

好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

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