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音の欠片 壱 雨とピアノと私の歌

 雨が落ちるような音。ピアノの鍵盤が奏でる旋律を耳にする度、いつもそう連想する。同時に雨の音にもピアノの旋律を重ねた。
 優しくなでるような、それでいて時に激しく、時に楽しげに。ポツポツと音が落ちていく。ね、似てるでしょう。
 窓の外を見れば雨模様。薄い窓越しに聞こえるかすかな雨の産声。一粒一粒、確かめるような前奏。そう、このときの雨の感じ。

 やがて雨は勢いを増していく。
 私は部屋の窓を開け放つ。ザァとノイズ音のような雨音。しかしその中でも、あのピアノを思わせる音は確かに聞こえた。木々の葉から滴り落ちる雫の音だ。屋根を叩く打楽器の音に合わせ、水たまりに落ちる水滴のピアノ協奏曲。
 心が洗われるように心地よい。

 そこにさらに音が加わる。自然では奏でることのできない音階。それは湿った空気を震わせる、確かなピアノの音。
 雨に濡れるのも構わず、窓の外へと身を乗り出す。そっと耳を澄ますと、ほら、聞こえてきた。
 有名なクラシック音楽の曲。相当練習したのか、同じところを繰り返すことなく音は流れていく。それは川のせせらぎのように、静かに清らかに流れる音。音の水に包まれているようだ。
 自然との合奏。コンサートで聴くような大合奏に、負けずとも劣らない、不思議な魔力を秘めているかのような演奏だった。

 気づけば空に歌が飛んでいた。潤んだ空気を震わすのはなんと私の歌だった。
 軽快な旋律。それでいて、決して人を置き去りにしない、優しい鍵盤の調べ。
 見ず知らずの誰かのピアノの歌に乗せて、適当な歌詞を添えて命を吹き込む。歌詞はすらすらと浮かんだ。曲の中に歌が眠っていて、私はそれを起こしてあげる。そんな感じ。

 さあ、届け、音の翼よ羽ばたけ。
 雨の日に心を沈ませるなんてもったいない。
 響け、遠い地へと渡れ。
 この協奏曲が届くすべての者に、一抹の幸せを運び給え。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
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好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

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