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話の欠片 壱 不思議

「ねえ、この物語ってあなたが考えたの?」
「そうだよ」
「不思議な話ね」
「そうかな。僕の頭の中にこの物語は存在する。それを頭の引き出しから出しているだけさ。少なくとも私にとっては不思議ではない」
「あら、でもほかの人から見れば分からないじゃない」
「そうね。でもあたしたちが見れいる世界は、結局は自分の主観によるものでしょう。ですから、己の見るものが確かにそこにある。それだけを信じればよろしいのです。」
「なんだか難しいこと言うわね」
「簡単じゃよ。デカルトを思い出してみなさい」
「我思う、ゆえに我あり、だったかしら」
「そうだ、それをこう言い換えてみろ。我見る、故にそれあり。今この場合、それとは物語の事を指すね」
「でも、不思議と感じることの否定にはなってないじゃない」
「ねえ、おねえちゃん。そもそもふしぎってなあに」
「普通とは少し違うってこと、かな。有り得ないこととか、信じられないこととか」
「まあ、大体そのとおりだよ。じゃあ、僕たちが不思議と思ってるもの。例えば物語か。それは世界中にあふれている。それを私たちは普通に読んでいく」
「あなたの言いたいことは分かったわ。普通なことを不思議というのはおかしいってわけね。でも、それじゃああなたは、あたしが不思議と思うこと、それ自体を否定するつもり?不思議に思わないなんてどうして言えるの。」
「そういうことを言いたかったのではありません。ただ単に、あたしたちが読む不思議な物語。それは、物語の中ではなんら不思議じゃないってこと」
「ふうん」
「物語の中では、人は時を渡るし、魔法を使える。文字を連ねれば、どんな世界でも存在し得るんだ」
「ねえ、あなた」
「なぁに? おねえちゃん」
「さっきから口調がころころ変わってるの、気づいてる?」
「それが、どうかしたか」
「あなたはいい一体何者?」
「さあ、私は一体何者なんでしょう。分かりません」
「あなた自身のことなのに?」
「だって、俺には命はないんだぜ。じゃあ、あんたは誰なんだ」
「え、あたしは、あたしよ」
「答えになってないわ。名前は? どこに住んでいるの? いつ生まれたの? 好きなものは? 特技は? 友達は? …………」
「……」
「ほら、何も答えられないじゃないですか。ここにつづられた文字は文字でしかないんです。この会話も作り物。ね、こんな世界、不思議に思ったら物語なんか読めないんだよ」
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
傾向:眼鏡キャラ、マイナーキャラ

好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

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