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灰羽連盟 二次創作 幸せの果実 序章・二 雪・闇の底・花

↓お先にこちらからお読みください。
幸せの果実 序章・一「雪・別れ・砂漠」

・次回予告(10月9日公開予定)
容姿のまったく異なる双子の灰羽の新たな日々。
それはひどく不安なもので……
次回、幸せの果実 第一話「灰羽・名前・巣立ち」

(本編を読んでから開いてください。)

~雪・闇の底・花~

 いつも彼女の手を握っていた。思い出せないけど、きっとそれは、ずっと昔からあたりまえのようにしてきたこと。
 わたしが守ってあげなくては。そうしなければ、彼女は親鳥をなくした雛のように、孤独に病み、弱り果ててしまう。

 白以外の色がなくなってしまったような雪原の上で、彼女の問いに優しい声で答える。
 彼女がどう思っているのかは、握られた手の強さで分かった。わたしが彼女に声を発するたび、その圧力はほんの少しだけど強くなる。そのたびに、たよられていることを実感して胸が熱くなる。

 でもそれは、つかの間の幸せなんだと分かった。わたしはもうすぐ、ここから離れなければいけない。彼女の手をいつまでもつないではいられない。
 そんな予感が、既視感として頭をよぎった。そして、これはきっと本当のこと。
 だけど、わたしはそれを隠した。

「ずっと一緒だよ」
「ええ、もちろん」

 それはもっとも残酷な嘘だったのかもしれない。
 そしてわたしは、罪の意識に耐えられなくなる。

「ごめんね」

 呟き、私の手は離れていった。
 また一人になってしまった。
 彼女がいなくなってから気づく。支えられていたのはわたしの方だったのだと。
 胸の中に大きな穴が開いたような、そんな気持ちだった。

 雪は降り止む気配がない。その勢いはむしろ増していく。
 わたしは雪原の上で横たわり、ただ自然のなすがままに従った。

 身体が雪に埋もれても、わたしはずっと白い天井を見つめていた。
 呼吸ができなくなることも、身体が凍ってしまうこともなかった。
 はやく楽になりたかった。

 白の天上は厚みを増して、やがて光は届かなくなる。
 深い深い闇の中。わたしはずっとここで生き続けるのかしら。

 そんなの……いや……。

 涙が頬を伝った。雫は、やがて一粒の雨となって、雪のほんの一部分を溶かした。
 雪が溶けた場所に、かすかな光が見えた。蛍の放つ光のように淡く鮮やかな光。
 そっとなでるように雪をどけると、そこには一輪の花が咲いていた。

 こんな場所にあるはずのない花。光り輝くそれは幻想か。
 綺麗な花だった。いとおしげに触れてみる。しかし、その瞬間、花は命を吸われていくかのように枯れていき、先の美しさが、今は見る影もない。

 どうして……
 
 今度は、まるでその花がよみがえったかのように、次々と光り輝く花があちこちに咲いた。
 こんな狭い空間なのに、と疑問を抱く暇もなく、また新しい花々も枯れていった。
 花は断末魔の叫びのような声を上げた。

「お前が枯らしたんだ」
「お前が」
「お前が殺したんだ!」
「枯れちゃうよ。助け……」
「なんでこんなひどいこと……をする、の……」
「いやだ。さわらないで!」
「……」
「……」

 咲いては枯れ、咲いては枯れ、花々のうらみつらみが耳の中をこだまする。

「やめて」

「お前が止めるんだ!」
「そうだ、……でしまえ!」

「いやぁぁぁーーーーー!」

 花々が私を包み込んでいく。枯れてもなお、その元凶の息の根を止めるために。そして、やがてわたしの意識は、先よりもさらに深い闇の底に沈んだ。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
傾向:眼鏡キャラ、マイナーキャラ

好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

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