スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

色の欠片 壱 灰羽(後)

 空から落ちた虹の鳥はか弱い少女。その背には小さな灰色の羽根。
 一日経てども、あふれ出た色はその身体には戻らなかった。ただ、彼女に触れ続けるうちに、私の色が少女へと移ったのか、肌すらも透き通るということはなくなった。
 髪は薄い灰色。私がかけた外套も同じような色で、その一色に少女は包まれてしまっている。今は、あの虹の鳥の面影はまるでない。

 色素の海は、空へ少しずつ溶けていった。風に運ばれ、大地に沈み、やがて虹の霧は晴れる。
 そして少女とともにあてなき道を歩みだす。

 再び色を取り戻したら、彼女はまた虹の翼を羽ばたかせ、空へと帰ってしまうのだろうか。
 そんなのはいやだ! いつまでも一緒にいたい。
 わがままかもしれない。しかし彼女は私に生きる目的を与えてくれた。彼女を守るというただ一つの……

 小さな手から伝わる温もり。なくなってしまったら、どうしようもない虚脱感に心は枯れてしまうだろう。そんなことを考えると、つなぐ手に自然と力が入る。

「痛いよ」
「あ……ごめん」

 謝りこめる力を緩める。

「ねえ」
「なあに」
「私、たぶんもう飛べないと思う。この羽は飾り物。飛び方を忘れた私にとってはただの……」

 彼女はうつむき言った。しかし、そこに悲しみの色はない。
 と、少女は何かを決心した目で私を見つめた。そして、強い口調で言葉を継ぐ。

「ね、だからずっと一緒にいて」

 その言葉が言い終わる前に、涙はあふれ出ていた。

「うん。うん。絶対に。約束する」

 何度も強くうなずく。
 そしてこれから歩む、果て無き道に目を向ける。涙の雫は頬を伝い、やがて鮮やかな大地へと溶け、かすかににじんだ。
 きっとうれし涙なのだろう。自然と笑みはあふれてくる。涙とともに沸きいずる。

 きっと彼女は、幸せを運ぶ鳥なのだろう。
 かつて色の海をその身に秘めた虹の鳥。
 その背に生える小さな羽は、私をどこへ連れて行ってくれるのだろうか。
 どこへでも一緒に行くよ。
 ずっと、私が親鳥となって、あなたを守るから。
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

図書館の住人

樹


好物:百合、ファンタジー
傾向:眼鏡キャラ、マイナーキャラ

好きなカプは、ひだまりスケッチは沙英夏目、なずのり、マリみては蔦笙、けいおんは唯和、ストパニは渚玉、などなど。

↓気が向いたら押してください

ブログランキング・にほんブログ村へ

最新記事
最新発言
目録
館内検索
公式
お世話になっているサイト
灰羽連盟の感想を探してみよう
灰羽連盟 Blu-ray BOX 発売記念企画

情報系
コミック発売一覧
作品データベース
読書メーター

ブログ
訪問者数
応援中
投票所壱
無料アクセス解析
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。